【書籍】「修理 仏像からパイプオルガンまで」を読んで
バブルの頃のような「大量生産」「大量消費」の時代が終わり、「3R(Reduce、Reuse、Recycle)」「断捨離」「ミニマリズム」「モッタイナイ」などなど、モノに対する考え方が変わって久しいですね。
当著は様々なモノの『修理』をテーマにしたルポで、“仏像からパイプオルガン”までというサブタイトルにもあるように、多くの題材を取り上げ、その道の職人たちの歴史や仕事ぶりを紹介しています。
- 書籍、メガネ、宝飾品のデザイン直し、かけつぎ、靴、プリンター
- 刀剣の研ぎ直し、仏像、古文書、からくり人形、茅葺き屋根、漆工
- 神社、赤レンガ建築、パイプオルガン、路面電車、カリヨン時計、船舶
- ライター、カメラ、中古の輸入家具、万年筆、プレミアム・ギター、ルアー、登山靴、スクーター
- 競輪用フレーム、おもちゃ、ふとんクリーニング、ウイスキー・オークの家具、古材家具、自動車のリサイクル部品
どれもすばらしい題材で読み応えがあります。その中でも2つ。1つは「ライター」。2つめは「スクーター」の話が気に入りました。
ライターに関しては、ZIPPO(ジッポ)の修理が題材です。
私の若かりし頃は喫煙者でZIPPOを愛用していたものですが、その時代は喫煙者も多くて、ZIPPOを愛用家も多く見かけたものです。
使い込まれていい具合に擦れたZIPPOに憧れて、私も無闇に触ってカチカチ言わせてみたりして。ああ、懐かしい。
タバコをやめて十数年。あのZIPPOはどこかにいってしまいましたが、今でも修理しながらZIPPOを使い続けている人もいるのかなと考えると、なかなかに胸が熱くなります。
それからスクーター。イタリア製のベスパの修理が題材です。あのバイクは、長く使えば使うほど味が出て美しさが増しますね。いわゆるよくある大量生産のスクーターとは一味違って、手をかけてあげたくなる気持ちがよく分かります。バイクが好きな私にとってはたまらない話でした。
以前は消費志向だった私ですが、歳を重ねるに連れ、身の回りのモノが洗練されてきた感じがあります。良いモノを長く使いたいと思うようになってきました。
そのモノが壊れた時、買い換えた方が安くなるような場合も多いのですが、愛着を持って「修理」出してみる、という選択肢もありだなと考えました。