【書籍】「フリー <無料>からお金を生みだす新戦略」を読んで。
二一世紀の無料(フリー)は二〇世紀のそれとは違う。アトム(原子)からビット(情報)に移行するどこかで、私たちが理解していたはずの現象も変質したのだ。「フリー」は言葉の意味そのままに「無料で自由」であることとなった。
「アトム(原子)からビット(情報)に移行」。このくだりが大好きなのです。
2009年の本著では、IT技術の飛躍的な革新により、モノの価値を図る概念の変化が起きた結果、経済活動(”稀少な資源をめぐる選択“と呼べる)の在り方を変える必要性を説きます。
巻末付録では、フリービジネスを以下の3つに大別し、50個の例を挙げています。
- フリーその1。直接的内部相互補助(例えば、製品は無料・サービスは有料。その逆も然り。サンプル配布、駐車無料など)
- フリーその2。三者間市場あるいは市場の“二面性”(ある顧客グループが別の顧客グループの費用を補う)
- フリーその3。フリーミアム(一部の有料顧客が他の顧客の無料分を負担する)
また「無料のルール」として、以下10個の原則にまとめています。
- デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
- アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
- フリーは止まらない
- フリーからもお金儲けはできる
- 市場を再評価する
- ゼロにする
- 遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
- ムダを受け入れよう
- フリーは別のものの価値を高める
- 稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう
顧客からお金や時間を確保するために、古典的な広告収入やキックバック、無料サンプル、アイテム課金などあらゆるビジネススキームが開発され、我々の生活に浸透している事実を再認識しました。
一つ一つのビジネスがどう成り立っているか図式化すると、なるほどこんな方法で儲けることができるのか、と驚くものが多くあります。柔軟で、目先のキャッシュにとらわれない思考が求められますね。豊富な資源によりリスクが低下されている現実を再認識し、まず挑戦してみて早めに失敗してみることが重要ですね。
- 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/11/21
- メディア: ハードカバー
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