書くと寿命が百日延びるブログ

そのブログは、記事を1つ書くと寿命が百日延びるという。

【書籍】「東大卒貧困ワーカー」を読んで。

大阪の毎日放送でアナウンサーとして勤務していた筆者が、身内の介護を契機に、取材と実益を兼ねて非正規雇用の現場に労働者として立ち、生々しい現実をルポします。

日本の会社で、非正規雇用だからといってこんな酷い扱いをされる人間がいるのか、と落胆しながら読了しました。「多様性」という言葉なんてどこ吹く風。一体どの国のいつの時代の話だよと突っ込みたい、ひどい世界があることを、筆者がリアルに紹介します。

年金、医療費、生活保護、介護など…。このような労働環境を野放しにした先には地獄しかありません。正規雇用だからと安穏とし、非正規雇用を冷遇しているような人も、明日には立場が変わる可能性があるのが今の社会というものです。自分の地位を守るがために他人を蹴落とすことが、長期的な観点で自分自身にとって有益なのか。生きる目的を見誤ってはいないか。そう問いかけられたと感じます。

筆者は最後にこう締めくくります。

階層性の修正による底辺の労働者の地位の底上げ。それによって経営者と正規、正規と非正規、非正規同士の人間関係を健全化できるだろう。よそよそしく冷え切った職場に暖かい風を吹かせて活性化すれば、いずれ個々人の持つ力量が花開いていくに違いない。

リアルな描写は、これ日本の話じゃないよね、という強い不快感を与えます。このような現場をわたしは見たことはないのですが、現実とすれば、環境をなんとか変えていかないといけません。ショッキングな内容でした。

東大卒貧困ワーカー (新潮新書)

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