【書籍】「あなたの自己回復力を育てる―認知行動療法とレジリエンス」を読んで。
生態系の復元、経済危機からの復活、災害からの復興など、『回復力(レジリエンス)』という言葉が使われます。著者は、認知療法・認知行動療法の立場から、この回復力について丁寧に順を追って説明します。
- 回復力とは何か?
- 態度(回復力の核心)
- 回復力の養成を妨げる態度
- 回復力をさらに高める
- 回復力を支える強さ
- 職場における回復力
- 人間関係における回復力
- 厄介な人に他処するための回復力
- 回復力を維持する
- 回復力についてのまとめ
- 出来事が心を乱すのではなく、その出来事をどう受け取るかによって心が乱れる。
- 思考と感情と行動は密接に関わっている。思考と感情を混同してはいけない。整理するには、自分の考えが硬直しているか柔軟か、現実的か非現実的か、有益か無益か、他の人に教える気があるか、を問う。
- 悲観的な説明スタイルに陥った場合、永続性、全面性、自己関連付けの3つの要素が含まれる。例えば、自分がやらかしたせいで奈落の底に落とされた気分になる、という0 or 100的な思考。極端に振りすぎた状態と言える。
- 人が間違いを繰り返すのは、自分を十分理解できていないからである。
- 疑念が頭をもたげても、それと関わり合わず、ただその存在を認め、心を素通りさせること。これはマインドフルネスと呼ばれる。
本著では、著者によるセラピーのクライアントの事例を紹介しなら、歪んだ認知をどう正常化してきたのかを分かりやすく説明します。
生きていく中で遭遇する様々な事象に対して、自分が変えられるのは自分だけ。影響を与えることはあっても、相手を変えられるなんて思ってはいけません。また、自分を変えるにあたっても、感情に振り回されることなく、事象に対して何を考え、何をしたいのかを冷静に整理する必要があります。
海外ではよくセラピーが活用されていますが、セラピストを含め、他人になかなか心を開いて相談することができず、悩みに悩み続けている人も多いかと思います。そんな時、「回復力」という言葉や整理方法を知っているかどうかで、対処のスピードも効果も大きく変わってくるようです。短い人生、くよくよ悩みながら生きるより、一度すべてを吐き出してリフレッシュすることは大変に重要です。
一歩踏み出してみれば、意外にも他人はそれほど気に留めていないことだらけ。まずは勇気を出して行動してみたいと思わせる、そんな一冊でした。